日本早期認知症学会
訃報

金山重明先生の逝去を悼む

日本早期認知症学会名誉理事 金山重明先生は、本年5月3日に逝去なさいました。全く急なことでありまして、2月にご連絡した際はお元気でしたので、本当に驚きました。先生から頂きました最後のメッセージは、「先生の思いは理事会の都度お聞かせいただいておりました。それが次なる発展のために動き出しているように感じます。先生はじめみなさんのご尽力が伝わって欲しいと思います」というものでした。
小生が先生に初めてお目に掛かりましたのは、今から10年も前になりましょうか、福井での学会が最初と思います。背の高い、すらっとした細身のスマートな紳士であった先生は、どのような時にも決して激することなく、発言は常に穏当、物事の真理を衝いて、判断がぶれない。周辺に対する慈愛の眼差しと、そして、どなたにでも励ましの言葉を掛けて下さり、勇気を与えて下さる。素晴らしい、お人柄でありました。 
2009年10月には八戸で先生が会長で第11回大会が挙行されたのですが、この大会は、まさしく本学会の分水嶺ともなった会議でありました。喧々諤々の論議もありましたものの、大会運営には一部の隙もなく、見事にアレンジされて、学会はかくあるべしと、毅然たる態度でお示し頂きました。慌てず騒がず、懇親会も無事和やかに切り盛りされ、学問中心の大会が見事に運営されたことを鮮やかに思い出します。このように先生の懐は深く、常に泰然寂と構えておいでのお姿は、さながら古武士然たる風貌でありました。お聞きしますと、元は甲斐の武田武士である由で、東北大を卒業されて現職につかれたとのこと。先生が入局された当時、東北大の脳外科といえば、有名な鈴木二郎教授が主催される教室であり、猛者連が集まる処として、全国的にも有名を馳せていました。その教室にこうした先生の如く一見スマートな風貌は似つかわしくないのでありますが、内面の芯の強さは、流石に武田軍団と東北大脳外科の血脈を受け継いだ方であればこそと、納得させられたのであります。
ここに於いて、第11回大会において金山先生がのこされたお言葉をお示しします。「学会抄録の表紙絵をもう一度ご覧いただけるでしょうか。表紙絵に選びました八甲田山麓のブナ林の新緑からやわらかさ、可能性、発展、そして先に光、そんなキーワードがイメージされます。私たちは、そして当学会はそうありたいと思っております」と。大変慈愛に満ちたお心が偲ばれます。
その後第15回大会を佐倉で行った時には、最初から最後のコンサート、そして、打ち上げ会までフルコースに参加して頂き、今後本学会があるべきすべての方向性が盛り込まれていましたねと、労いの言葉をお掛け頂き、大変うれしく感謝申しあげましたのがつい昨日の様であります。あれから、早や3年が経過しようとしており、先生は一昨年、目出度く学会理事を定年にて勇退され、昨年からは、名誉理事としてご指導頂いておりました矢先の訃報でありました。大きな後ろ盾を急に失った悲しみは言葉に言い尽くせないものがあります。 
残された会員一同は、竜骨を失った帆船の如くならないよう、皆で助け合い、力を合わせて進んで行くことを先生のご霊前にお誓い申しあげます。
人はかく身を処すべしと無言のうちにお示し頂きました先生に衷心より感謝申し上げつつ、ご霊前にぬかずきご冥福をお祈り申し上げます。
先生、ありがとうございました。今は安らかにお眠り下さい。
合 掌
平成29年5月8日
湯浅 龍彦
日本早期認知症学会(JSED)理事長
 
日本早期認知症学会事務センター
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